プライマリシャフトなるもの2012/02/03

バイク歴の浅い私にとってバイクの中身というのはだいたいこんな感じである。

超図解
[ヨレヨレのフリーハンドで超図解]

棒が「クランク」と「メイン」と「カウンター」の3つあってー、プライマリドライブがプライマリドリブンを回してー、(6速の場合)6つのギアのうちどれかが有効になっててー、ドライブスプロケットに到達してチェーン回す。

ところが、とある昔のバイクの断面図を入手して眺めていると、見慣れぬシャフトが存在していた。

■断面図

そのバイク断面図はHONDAのエンジン開発をされていた方(以下W氏)からいただいたもので、RC166というレースバイクのもの。

断面図
[掲載許可いただきました]

これ。Aはクランクでしょ、Cはクラッチ付いてるし、まあメインでしょ、で、CとDには沢山ギアついてるからDはカウンターでしょ。じゃあBは何? ってなって旦那と色々考えた結果、W氏はクランク軸の回転方向の話などされていたから、ひょっとして好みの回転方向にするためじゃ? と結論を出した。(もしかしたら以前のお話の中で、そのものズバリの話をされていたかも知れない、が覚えていない…)

■実際に質問

その後、再びW氏にお会いする機会を得たので質問してみた。理由は幾つもあった。

○横に6気筒でクランク軸が長いので端にプライマリドライブギアを持ってくるとねじれちゃう。だから真ん中にギアを付けたい。
○クランク軸の回転方向を車体右から見て反時計回りにできる。
○エンジンの回転数が高いので減速比を稼ぎたい。
○重量のあるものを正中線近辺に持って来るのに都合が良い。

解説を伺っているうちに脳の短期記憶バッファが尽きてきて幾らかあふれさせた様な気がしないでもない。

そしてこのBシャフト、その名をプライマリシャフトという。

■次の疑問

上記4つの理由のうち3つはまあ納得なんだけど、2つ目の回転方向に関する理由が直ぐには飲み込めなかった。車体右から見て反時計回りにすると、加速時における後輪に依る前荷重抜けを(多少なりとも?)相殺する力が出ると。

確かにBMWの縦型クランクだとスタート時に横に軽く振れる感覚があるらしいので、クランク軸という回転体が何かの条件でどれかの方向に動くと言うか影響するというか、そんな現象があるんだというのは分かる。何か名前付いてるに違いない。

で、知恵熱出しながら出した結論、作用反作用だ。多分。
[[ おまえがそれを押すならば、それもまた等しくおまえを押し返すのだ ]]
っていうアレ。


ある回転体を赤矢印方向に回そうと力をかけると、回転体の慣性によって反作用(青矢印)が生じる。上図なら相殺方向だが、これがVTRと同様の時計回りだと反作用はいずれも反時計回りになり、確かに前が上がりやすくなるのかなと思う。

■そう言えば、思い出した

他の事例としてはモトクロスのジャンプ。以前モトクロスレーサーから聞いた話。

モトクロスのジャンプは結構滞空時間が長い。多くの選手が空中で共通の動作をするのを見た。一つは敬礼(に見えた)。近くのオーディエンスにパフォーマンスしてるんだと思い、流石、オフ乗りはノリが違うわと思ったら勘違いだった。敬礼した後、空中から何か半透明のモノがヒラヒラと落ちてくる。ゴーグルの泥で汚れた一番上のフィルムを剥がしていただけだった。

そしてもう一つはエンジンを吹かす事。全員がやるわけじゃないけど割りとよく見られる動作だった。タイヤの泥でも落としているのかと思った。レーサーさんのお話ではあれで姿勢の変化を得る場合があるとの事だった。空中で吹かすと前が上がるのだと。逆に下げたい場合はリアブレーキをかけるんだと仰っていた。えーなにそれー不思議ーなんつってたけど、同じ現象だ。

[追記:2012/02/12]
今日、この辺の話をオフローダーにした所、前ブレーキも使うと言ってた。その場合は前軸を中心にして車体が前転する感じ、後ろブレーキの場合は後軸を中心にして前が下がってくる感じか。それを使ってジャンプ終わりの下りになっている地面に合わせていくとか。(追記終わり)

■話を戻して

さて。
クランク軸からメイン軸への動力伝達は他にギアではなくてベルトやチェーンを使う形式があり、軸も3軸だったり4軸だったり様々な様子。何が一般的かってのはなかなか言いづらい模様。

それぞれの方式の長所短所、素材の進歩、バイクの性格とかでどれにするか決めているんだなあ、と。(頑固なメーカーの不要な拘りとか、市場に対するインパクト狙いとか、コストカットとか、共通部品使いたいとか…)

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